知る・見る・食べる 有機野菜

身の回りの有機

オーガニック・ライフ~暮らしの中の有機(オーガニック)

食材を有機(オーガニック)にすると、徐々に、
食以外のものも有機(オーガニック)やナチュラルなものに
切り替えたくなってきます。
身体や肌が、自然なものの心地良さに目覚めるのかもしれません。

「有機(オーガニック)」を謳う商品は、
食材だけでなく、化粧品・衣類・雑貨小物・住まいなど、
さまざまなジャンルで続々と登場しています。(※)
薬や化学物質に頼らず、少しでも身体や肌に優しい生活をと望む人たちが
増えている証しだと言えるでしょう。

食べものや、暮らしに必要なものを選ぶとき、
その背景にある生産の過程や、作り手の思いについて考えること。
いつも自然を近くに感じて暮らすこと。
自分と、自分の大切な人が、すこやかであるように願うこと。
有機的(オーガニック)な暮らし方・生き方というのは
そういうもののような気がします。

しっかりとアンテナを立てて情報収集し、
安心・安全なものを自ら選びとることが、心ある生産者やメーカーを支え、
より心地よい未来を手にすることにもつながります。

※現在の日本では、有機基準(有機JAS規格)が制定されているのは、「有機農産物」「有機加工食品」「有機畜産物」「有機飼料」の4品目のみです。これ以外の品目については、まだ国の基準がないため、表示に関しても法律による規制がありません。海外のオーガニック認証を得た輸入品や、信頼できる(原材料や製法の安全性が確認できる)生産者やメーカーのもの等を選ぶよう気をつけたいものです。

食と環境に関するキーワード ~「有機(オーガニック)」をより深く知るために

キーワードをクリックすると、詳しい情報が確認できます。

トレーサビリティー
野菜や肉など食品の生産情報を、さかのぼって追跡できること。牛肉の場合は、「牛肉トレーサビリティー法」によって2004年から牛の「個体識別番号」の表示が義務付けられており、パックのラベルに掲載されているURLにアクセスすることで、購入した牛の履歴をパソコンや携帯電話で詳しく調べることができるようになっています。野菜のラベルにURLやQRコードを添付し、ホームページや携帯電話を通じて、各種生産情報(生産者氏名やその連絡先、農薬や化学肥料の成分名や用途、使用回数等)をチェックできるようにしている生産者グループ・流通業者・スーパー等も出てきました。こうした生産履歴の情報公開は、食の安心・安全につながります。
地産地消(ちさんちしょう)
その土地でできた農産物などをその土地で消費すること。新鮮なものを入手でき、輸送のエネルギーを節約でき、CO2の排出を抑えることができます。また、生産者と消費者の交流と信頼関係を築きやすくなるというメリットもあります。
LOHAS(ロハス)
Lifestyles of Health and Sustainability(健康的で持続可能なライフスタイル→健康で地球環境に対する意識が高いライフスタイル)の頭文字をとった略語です。
スローフード
お手軽なファストフードに象徴される、大量生産・大量流通の食の画一化に異議を唱え、地方ごとの豊かな伝統的食文化を守ろうという考え方。1986年、イタリア・ローマにマクドナルド第1号店が開店したのをきっかけに、伝統的食文化衰退の危機を感じた人々が、「(1) 伝統的な食材や料理、食品、ワイン(酒)を守る」「(2) 品質の良い素材を提供する小生産者を守る」「(3) 子どもたちを含めた生活者に、味覚について啓蒙する」という、ファストフードに相反するスローフード運動を始めました。イタリア北部のピエモンテ州で始まったこの運動は、世界へと広がり、有機農業や地産地消、健康ブーム、伝統的食生活の見直しなどの機運ともあいまって、広く支持を得ました。
ベジタリアン(菜食主義者)
肉や魚などの動物性食品を食べないのがベジタリアン。野菜(ベジタブル)を食べるからベジタリアンなのかと思われがちですが、語源はラテン語の「vegetus」で、「健全な」「生き生きした」という意味。菜食によって健康を実現するという考え方から着想された言葉です。
ビーガン
ベジタリアン(菜食主義者)の中でも特に純粋な菜食で、卵も乳製品も食べない人たちのことを指します。ビーガンの他にも、ラクト・ベジタリアン(植物性食品に加え、乳製品を食べる)、ラクト・オポ・ベジタリアン(植物性食品と乳製品・卵を食べる)、ペスクタリアン(植物性食品と魚を食べる)など、ベジタリアンにはさまざまなタイプの人がいます。家畜の飼育は地球環境に大きな負担をかける上、肉を食べることは健康に良くないという考え方に基づき、欧米のLOHAS志向な人々の間ではベジタリアニズムがかなり普及しており、あらゆる街でベジタリアン・レストランを見かけます。
マクロビオティック
玄米を主食、野菜や漬物や乾物などを副食とすることを基本とし、独自の陰陽論を元に食材や調理法のバランスを考える食事法。「玄米菜食」「穀物菜食」「自然食」「食養」「正食」などとも呼ばれます。「マクロ」は「大きい・長い」、「ビオ」は「生命」、「ティック」は「術・学」。これらをつなげて、「長く、思いっきり生きるための理論と方法(マクロビオティック/日本CI協会刊より引用)」を意味しています。提唱者は桜沢如一氏という日本人ですが、ハリウッドスターやスーパーモデルなど、欧米における実践者が多いことで知られています。
フードマイレージ
農地や漁場から消費者まで、食料を輸送することにともなう環境への負荷を示す指標のこと。2001年の日本の食料輸入総量は5800万トンで、これに輸送距離を乗じたフードマイレージは9000億トン・キロメートルです。これは日本国内の1年間の総貨物輸送量に匹敵する数値で、アメリカや韓国の約3倍にものぼります。人口1人当りで比べると、アメリカ人のフードマイレージが約1000トン・キロメートルであるのに対し、日本は約7000トン・キロメートルと7倍にも達しており、日本人がいかに食料の輸送にエネルギーを費やしているかが分かります。これは日本が食料の約60%を輸入に頼っていることから起こるもので、CO2削減のためにも、食料自給率を上げ、食料輸入を減らし、フードマイレージを削減することが求められます。
身土不二(しんどふじ)
マクロビオティックにおける基本的な考え方の1つ。「人間の肉体(=身)と、暮らす環境(=土)は、別々のものではない。たとえば、お米の育たない寒い気候のもとで育つソバやタカキビなどの穀物は、寒さに耐えるエネルギーを持っているため、それを食べた人間も身体が温まり、寒さに適応できるようになる」という考え方をします。
一物全体(いちぶつぜんたい)
「玄米は水に浸けておくと発芽するが、白米は腐る。玄米は生命体として完全なものだが、その一部を取り出した白米には命がない。生命体を丸ごと食べることが大切」という、マクロビオティックの考え方。穀物は精白せず、野菜はできるだけ皮や葉っぱまで余すことなく食べるのが良いとされています。
自然農法
「耕さない」「肥料・農薬を用いない」「草や虫たちを敵にしない」ことを原則とする、自然の理に沿った農業のこと。「草(雑草)を取らないと、土の中の水分が良く保たれ、虫が住みやすい環境が保たれる」「たくさんの種類の虫たちがいることで生態系のバランスが安定し、特定の害虫が繁殖することもないため、農薬を使う必要がなくなる」「虫たちのフンによって、自然に土が肥えるため、肥料を与える必要がない」「草の根や土の中を移動する虫たちによって、土が自然に耕されるため、あえて土を耕すこともしない」という理論によるものです。
デトックス
現代生活の中で体内に溜まってしまった有害な毒素(有害金属や化学物質)を排出(解毒)すること。サプリメントや腸内洗浄などによる方法があります。食材では、玄米・玉ネギ・ゴボウ・リンゴなどの食材が解毒効果があると言われています。
天然酵母
酵母はパンの生地を発酵させる時に使用する菌の一種。酵母菌は小麦に含まれる糖質を分解し、その際に発生する炭酸ガスでパンが膨らみます。一般的には「天然酵母」と「イースト」が有名です。天然酵母はイチゴやリンゴなどの果物や酒粕などを1週間ほど発酵させることで自然に菌を培養して作るものですが、市販のパンの多くは、化学培養されたイーストが使われることが多いようです。発酵力が安定していて大量のパンを作るのに適しているからと思われますが、化学培養されたイーストには乳化剤や酸化防止剤などの添加物が加えられていることがあるため、自然培養された天然酵母が安心・安全と言われているのもうなずける話です。ただ、天然酵母は発酵力や味が不安定になりやすいという面もあり、パン職人の力量が問われるところです。
発酵食品
麹菌・乳酸菌・酵母菌など、さまざまな微生物の働きを利用して作られる食品のこと。微生物が活発に働くことにより、元の食材にはなかった栄養成分が作られたり、栄養価が高くなったりします。乳酸菌が働く発酵食品は腸内環境を整え、善玉菌を多く作る作用があります。日本では昔から味噌や納豆などの発酵食品を食べる習慣があり、日本の食生活の知恵として世界的にも高く評価されています。
オーガニック・コットン
一般的な綿花栽培は、最も大量に農薬や化学肥料を使う農業であると言われています。害虫駆除・雑草の管理・防カビや殺菌消毒・収穫前の落葉剤など、大量に使われる農薬は環境や生産者の健康に影響を与えており、過剰な化学肥料は土壌に残留して地下水の汚染や土壌微生物の消滅などを引き起こし、作物を育てる土壌の力を減少させます。これに対し、有機農産物の生産基準に沿って栽培され、認定機関によってオーガニック認証を受けた生産者の綿花をオーガニック・コットンと言います。
フェアトレード
直訳すると「公平な貿易」。開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、低賃金労働を強いられる傾向のある途上国で雇用を創出し、途上国の貧困解消や経済的自立を促すねらいがあります。「オルタナティブ・トレード(もう1つの貿易)」とも呼ばれます。
エシカル
エシカル(ethical)とは「倫理的」「道徳上」という意味で、近年では英語圏の各国を中心に、「環境保全や社会貢献」という意味合いで使われるようになってきました。「エシカルコンシューマリズム」とは、「環境や社会に配慮した工程・流通で製造された商品を選択する」という消費活動のこと。「オーガニック素材やリサイクル素材を用いる」「発展途上国から買い付けた素材を用いる」「環境に配慮した製造方法を撰択する(化学染料を使用せず天然染料を使用して繊維を染色する等)」「フェアトレードを行う」等々に配慮して作られた製品は、「エシカル・アクセサリー」「エシカル・ファッション」などと呼ばれます。
家庭内農薬
日常生活で使っている薬剤と農業用に使われている農薬とが同じ成分であることはあまり知られていません。虫を殺したり菌の繁殖を抑えたりする成分は同じなのです。ダニ・ゴキブリ・蚊などの殺虫剤をはじめ、衣類の防虫剤・カビ取り剤・殺菌剤・消臭剤・芳香剤、抗菌・防臭加工された衣類や寝具類、殺虫剤加工された掃除機の紙パック、防虫加工の家具やカーペットなど、家庭内にある多くの製品に、農薬と同じ成分の化学物質が使われています。
CSR
直訳すると、「企業の社会的責任(corporate social responsibility)」のこと。企業が事業活動において利益を優先するだけでなく、顧客・株主・従業員・取引先・地域社会などとの関係を重視しながら果たす社会的責任のことを指しており、具体的には、安全で高品質な製品・サービスの提供、環境への配慮、社会的公正・倫理にかなった活動などを行っているかなどが挙げられます。持続可能な社会を目指すためには、企業の意思決定に対して影響力を持つ「消費者の社会的責任(consumer social responsibility)」や、「市民の社会的責任(citizen social responsibility)」なども必要不可欠であると言われます。
生物多様性
「生物多様性(Biological Diversity)」とは、“地球上の生物がバラエティに富んでいること”、つまり、複雑で多様な生態系そのものを示す言葉です。生態系の中ではすべての生物が互いに影響し合っています。そのため、例えば人間に害を与えるからといって特定の昆虫を駆除してしまうと、それを捕食する小型動物がいなくなり、小型動物を餌にする中型動物が絶滅し、人間の食べ物がなくなる…というようなことが起こり得るのです。一度生物多様性が失われてしまうと、元の状態に完全に戻すことはきわめて困難なのですが、現実的には自然環境の汚染や破壊によって生物多様性が急速に失われつつあり、現在の生物が絶滅する速さは、過去6億年に比べて100~1000倍にもなったと言われています。環境省が2007年までに見直した絶滅危惧種(レッドリストに掲載されている生物種)は3155種にも及びます。有機農業とは、この生物多様性を大切に守っていく農業であるとも言えます。

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